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      6月10日



            
                                      
                                
                                       ドクター ロイド ホーキソン  ’ピードモント’
                                          世界のラン界に君臨したフレッド A スチュワート社のカタログの表紙を飾ったアメリカ シンビジュームの
                                          全盛時代の育種の頂点に立つ名花の一つである。
                                          この花型を・・・アレキサンデリー型と呼ぶ・・・シンビ美学の理想型である。
                                          日本の鉢物品種は「抱え弁」で・・・コチャラ、コチャラとさいている・・・
                                          鉢の運搬に楽な・・・姿をトヨアケ市場が推奨した姿であり・・・大量流通するために・・・
                                          創られた・・・支柱の立て方である。
                                          生産者に講習会を行なって・・・規格化した。
                                          市場がラン鉢物を支配した。今は昔の・・・バブルに踊った時代の市場全盛時代の話である。
                                          その鉢物市場も・・・明日が見えない状態になっている。
                                          ワンパターンのラン鉢物。
                                          胡蝶蘭の・・・個性のない姿は・・・・○○国の美女軍団に・・・宇井 清太は見えてならない。
                                          胡蝶蘭は・・・微笑の裏で泣いている。
        

                                      今朝 咲いているのを見つけて撮った。
                                      シンビの緑花を毎年同じ色に咲かせる!・・・のは至難である。
                                      この花は・・・今年の花である。
                                      前年の夏の株の出来で次第で・・・まるで違う花になる。リップのバンドがまるで違うことになる。
                                      紫外線・・・。
                                 
                                      シンビの緑花の育種は難しい。
                                      遺伝子にステムがアーチになる「ロウイアヌム」がはいっているから・・・直立で剛直なステムがなかなか作れない年月が続いた。
                                      この品種が発表されたとき・・・ステムが強い巨大輪緑花が・・・サンフランシスコの次世代として生まれたことで、
                                      5月咲きの緑として・・・絶賛された。










                         

                           今年の新花  遂に・・・中型シンビ育種家 パール ミラー氏の満月のシンビへの夢を・・・宇井 清太はつないで「満月」を創った。
                           パール ミラー氏から「バグデマガス」を譲り受けてから約40年の歳月が過ぎたが・・・ようやく・・澄明な満月が生まれた。
                           この花なら・・・パール ミラー氏から・・褒められるかもしれない・・・。
                           パール ミラ氏―は満月の中型黄色シンビをバグデマガスを親にして作ろうとしたが、夢半ばにして世を去った。
                           その直前に・・・宇井 清太にバグデマガスを分譲して・・・これを親にして満月を創るように託された。
                           ようやく・・・バグデマガスの遺伝子を最高の形で引き出すことが出来たようである。


                             宇井 清太のシンビには・・・物語がある。
                             時々・・・この物語を記すこともあるかもしれない・・・・

                          唯、カワイイ、素敵で・・・育種しているわけではない。
                          この花で「賞」など・・・望んでもいない。
                          究極の花を・・・初めて見る達成感が欲しい・・・。


                          少しの翳りもない名月。
                          雲一つない天空に、煌々と冴えわたる満月。
                          宇井 清太の40年の悲願の花であった。
                          誰にも「忖度」しないで・・・不動の心で生き抜く・・・。
                          昔も今も・・・生きる者にとって・・・これほど困難なことはない・・
                          だから・・・満月に・・・望みを・・・見る。
                          翌日・・・必ず欠ける満月。
                          今日の隆盛は・・・明日の凋落につながる・・・。

                          コロナ一つで・・・これまで築いてきたものが消滅するものもが出てくる。
                          この人間の世に・・・不変のものはない。
                          祇園精舎の鐘の音。
                          今日の美女も、明日は白骨・・・・。

                          だが、このシンビの満月は・・・永遠に不変である。
                          名花である。
                     
                          こういう花は、一人で静かに見る花である。
                          無観客蘭展で・・・見る花である。
 
                                ひとりなら、一人でもよし ランの春
                                                       宇井 清太