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       6月22日

                            


                   種なし西瓜が・・・洋蘭を発展させた








                            

                            Moonlight Cascade  宇井 清太交配 RHS登録
                            3倍体シンビジューム  花径15㎝                                         花の比較  2倍体原種  インシグネ サンデレー
                                                                                                この花から左の花に大きくするのに約150年 10代を重ねて生まれた。
                                  シンビの花を大きくする育種は、遂に花径15㎝に到達した。



                  シンビジュームには洋蘭の歴史に伝説を創った4倍体シンビジューム アレキサンデリー’ウエストンバート’FCC/RHS。
                  ラン界に身を置くものなら、このシンビジュームの個体を知らないということは、ランを知らないに等しい。
                  この個体が初めてラン界に姿を見せたのは英国の1922年だという。
                  その花の大きさに・・・審査会の会場の全員が息を呑んだという。
                  この1922年時代は・・・染色体の科学がなかった。
                  後に、この個体が染色体の数が2倍ある・・・4倍体80であることが解った。
                  シンビジューム 2倍体の染色体は40である。

                  このゲノムの研究は日本の木原均先生が行なっており、
                  西瓜の2倍体品種に猛毒のコルヒチンで処理すると、減数分裂を阻害して4倍体の西瓜を作れることを実証。
                  この4倍体個体に2倍体の花粉で受粉すると3倍体の西瓜を作れる。
                  この種を播くと・・・・「種なし西瓜」が出来る。

                  3倍体植物は「バナナ」「鬼百合」など・・・2倍体個体より強靭な生命力を持っていること。
                  旺盛な生長を行い、大きな体、大きな花、大きな果実、太い茎・・・を持つ。
                  この特性をランのシンビジュームに導入すれば、シンビジュームの切り花産業を作れる。
                  太平洋戦争の中で、アメリカのラン界は・・・こういうことを考えていた。
      
                  戦後、英国が経済が疲弊し蘭園が荒廃し、戦争に勝ったアメリカのラン界は、
                  英国から、この貴重な4倍体シンビージューム アレキサンデリー’ウエストンバート’がアメリカに渡った。
                  アメリカのラン界は、この個体の他に、多くの品種の中からゲノム検査を行い4倍体個体を探し出した。
                  この4倍体群に2倍体品種を交配し、夥しい交配、苗を育成した。
                  日本の昭和30年代 1950年から1960年代のことである。

                  この時期、日本では、山本二郎氏がデンドロビュームの中にも4倍体品種あることに注目し、
                  パーモス’グローリー’ 4倍体を親にして多くの2倍体品種と交配、4倍体と4倍体の交配を行なった。

                  宇井 清太がランを作り始めたのは、丁度、このころである。
                  大場蘭園からデンドロ、’ノビル’ 挿し木苗 1000本
                  山本デンドロビューム園からパーモスの実生  合計5000本の苗


                  ブドウでも4倍体品種が発見され、戦後3倍体品種が作出された。
                  「巨峰」である。
                  それまでブドウでは見ることがない「巨大粒」である。
                  このことは、「農耕と園芸」に詳しく掲載されているので・・・ご研究ください。


                  現在DNAの研究は進化し、ゲノム編集まで到達し、遺伝子導入、ゲノム編集で、
                  品種改良する時代になった。

                  
                  宇井 清太の巨大輪シンビジューム・・・ショウベンチタイプ シンビジュームは、
                  4倍体の名花と2倍体の優花との交配によって創り出さられたものである。
                  4倍体の交配親は、世界の名門蘭園の秘蔵の交配親から譲り受けたものである。

                  原種は「植物学」の分野で「博物学の一部」である。
                  日本の植物園は・・・この博物学から生まれた原種保存、展示を源流とするもの。
                  原種愛好というのは・・・この植物園由来の愛好である。
                  行き過ぎると・・・絶滅・・・ということまで起こる。
                  技術のない人は・・・手を出さないことであるが、技術も知識も経験もない人に限って原種に手を出す。
                  そして、枯らして・・ランを止めてゆく・・・。
                  一口にいえば・・・バブルのカネで・・・買い集めた愛好である。

                  品種改良は・・・産業を目指すもの。
                  より・・・優れた遺伝子を作り・・・向上を目標にする人間の営みである。