パフィオは2年目の葉がもっとも光合成を行なう。
 この葉のエネルギーで、手前のリードが
 生長する。
 だから、前年悪いことをすると、次年度に響く。
  

 Cymbidiumもパフィオも葉は約3年生きて
 光合成を行なう。
 老化して光合成できないようになると、
 朽ち果てることになる。
 リストラではなく引退である。
 栽培というのは、いかにして葉の現役時代に
 光合成を多くしていただく?・・・・ことが出来るかということ。
 鉢に植えたとたんに、それは全て、
 栽培者の責任と能力。
 言い訳は通用しない。
 
 Cymbidiumでは1バルブでは花芽を分化することは
 非常に少ない。
 頂点の芽が花芽になるラン。
 頂点の芽が花芽にならないラン。
 葉が一年で役目を終えるラン。
 葉が数年にわたって働きつづけっるラン。
 光合成と花、種子の関係は多様であるが、
 ランも好き好んでそのように進化したのではない。
 そうでなければならない必然のものが
 あるはずである。 

 
植物の葉の進化も多種多様である。
ラン植物は植物の新参者。
ランの葉の寿命も先輩植物の葉をモデルにしている。
このことは、ランを栽培する場合、他の植物の葉の寿命を調べて行えば参考になることが多い。
植物には
  葉の全然無いもの  腐生植物。 腐生ランも含む。 多肉植物。
  葉を刺、針にしたもの  シャボテンなど。
  2、3ヶ月で役目を果たしてかれるもの。 
      チュウリップ、福寿草、イチリンソウ・・・など夏が来る前に、乾期が来る前に、
      光の争奪戦が始まる前に・・・など。
 春から冬までの半年生きているもの。
      一年草のほとんど。落葉広葉樹。
      ランの中にも落葉性ラン。温帯、寒帯のらん等い多くある。
      落葉性に針葉樹 カラマツなど
 秋から初夏までの半年生きているもの
      秋蒔き麦など。草花に多くある。
 2年生きているもの
      宿根草に多くある。ランにも多くある。
 3年から3年以上生きているもの
      広葉照葉樹に多くある。 椿、茶など。
      針葉樹に多くある。 マツ、杉・・・など。
      ランには非常に多くある。


 このように進化したのには、それなりの理由がある。
 ランをつぶさに見れば、自生地の環境と密接に関わっていることが解かる。
 伊達や酔狂で葉を落としたり何年もつけたりしているのではない。
 
 パフィオは上記の中で3年以上生きているところに属するランである。
 Cymbidiumも同じ。
 だから、Cymbidium栽培法でパフィオも作れるというわけである。
 自生地が同じで、葉の進化も同じなら、ほとんど同じ環境条件で作れることを意味している。

 ほんの少しの違いだけである。

 なぜ何年も生きているのか?
  曽祖父も、祖父も、親も、子も・・・生きて4代の葉が光合成して、
  一人、二人の孫を育てるためである。
  これはCymbidiumも同じ。
  多くのランも同じ。
  バルブを3個付けて株分けする。

  こういう進化をしたランで、曽祖父も祖父も葉が落ちるという栽培。
  これでは、ランは良く育たない。
  どこかが間違っているということになる。
  親と子の葉のみでは、充分な光合成、エネルギーを造ることが出来ない。
  こういう場合、ナンプ病が出やすい株になっている。

 パフィオは光合成の効率の非常に悪いラン、植物である。
  一年草の植物、例えばトウモロコシのようなものは、痩せ地でも・・・・100日で2mも伸びる。
  昆布などは10mも伸長する。
  一番進化したランが、あえて光合成の能力を極端に悪くして生き延びる。
  新参者のランが仕方なしに、泣き泣き与えられた条件の中で生きる選択の道。
  その進化の理念と、
  人間様の動物進化の「向上のDNA」には大きな乖離がある。
  原種を栽培していながら・・・より早く賞を手にしたい!!
  より多く花を咲かせたい。
  短時間で大きくしたい。
  ・・・・人間が考えることは、ランの、パフィオの進化とは全く反対の論理である。

  葉の寿命は自生地の気候のサイクルに適合したもの。
  だから、葉を見れば・・・・自生地の気候、諸条件が相当のところまで推測出来る。
 クマガイソウ、アツモリソウなどは光合成で得たエネルギーを次の世代に蓄えれば、
  一年でその役目を終え、朽ちた葉は材木腐朽菌の「えさ」となる。
  このように進化したしたランは、四季の変化に敏感。
  冬の来るまでに仕事を終えなければならない。
  冬に葉を生きたまま付けておくより、朽ちらせたほうが合理的である。
  寒帯、温帯の高山に自生するランには、このように進化したものが多い。
  当然の成り行きかもしれない。
 
  ところが・・・雪の下に埋もれても葉を生きたまま越冬させるランもある。
  Cymbidiumの春ラン、寒蘭。
  よくぞ・・・・生きての・・・・フウラン、セッコク。
  雪に何回か襲われる。
  落葉させれば問題ないのに、葉を落とさない。
  なぜだ?
  同じヒマラヤを基点に進化したランでありながら、北上して雪の降るところまで進出。
  だから、同じCymbidiumでありながら、
  東洋ランの愛好家は、ヒマラヤ系のCymbidiumと一線を画したい気持ちも解からないではない。
  Cymbidiumの巨大への向上DNAを捨ててまで、北に進出した。
  けなげ・・・か。
  あえて困難に挑む凛然とした精神力か。

  パフィオの自生地。
  そういう観点からパフィオを見ると、自生地のエリアからすると、
  途中で・・・進出、遠征・・・新天地開拓を止めたランなのかもしれない。
  Cymbidium、デンドロほどの生態変化はない。
  ということは・・・自生地の気候に激しい四季の変化がないということである。
  モンスーン気候の中でも、割合限られた変化の中で生きつづけてきたランである。
  葉が約3年健全で生きられる環境のところが自生地である。
  ならば、約3年生きられる条件を探し、栽培に応用すればよいことになる。
  これを知るには、パフィオのみを観察するより、
  モンスーン気候で生きている他のランを観察する必要がある。
  Cymbidium。
  カランテ・・・日本のニオイエビネ。
  葉が約3年生きて光合成を行う姿には、一つの進化の共通性がある。
  
  2年目の葉がもっっとも働く。
   こういうランは、当年の葉より、前年展葉した葉が、もっとも光合成を行なう。
   だから、こういうランの栽培は、3年計画で一貫した栽培大系が必要になる。
   一度失敗、悪い環境で栽培すると、それを取り戻すのに最低でも3年必要となる。
   特に、温室栽培では、四季の変化、雨期乾期の変化、栄養生長と休眠のサイクルと、
   常緑の葉の光合成の組み合わせが、相当面倒な場面が出てくる。
   休眠があるのか、ないのか。
   光合成を多く行なう時期を何時にするか。
   光、温度、葉の温度、水・・・・複雑にからみあってくる。
   原種では、少しづづ異なるが、Cymbidiumほどの差はない。
   一定の条件を基本として、少しづづ変えれば・・・何とかなる。
   湿度は、SUGOI-ne栽培では「ペクチン潅水法」で簡単に出来る。
   光は、紫外線カット、散光、40%遮光で出きる。
   養分はSUGOI-neの炭素循環で相当のところまで作れる。
   温度・・・・これを原種ごとに変化させれば・・・・。

   一番問題なのは、温室という空間の・・・・春の温度管理。
   葉の温度上昇の問題である。
   この葉の温度が、これまで見落とされてきた!!
   室内の温度でなく、あくまでも葉の温度。
   寒暖計を見ても・・・・ランは作れない。

  これが自生地と同じように出来れば、葉は約3年健全に生きられる。
  SUGOI-ne栽培では!!

  
根が腐っては3年は生きられない。
  紫外線が強くても生きられない。
  直光でも生きられない。
  硝酸態窒素が多くても生きられない。
  糖がなくても生きられない。
  葉の温度が高くても生きられない。


 異郷の地の温室というのは、良かれとしたことが、ランには悪いことをしていることが多い。
 押し売りの親切。
 そういうことが、葉の寿命を短くする。
  

 乾期に備える
  パフィオは雪、低温で葉が死ぬところにはほとんど自生しない。
  しかし、モンスーン気候というのは、厳しい乾期がある。
  ヒマラヤを進化の起源とするランには、ほとんど乾期に対する備えのDNAがある。
  バルブを持たないパフィオも例外ではない。
  コチョウランも例外ではない。
  備え方に違いがあるだけである。
  バルブの持たないランには、別な備えが、機能の組織がある。
  パフィオでは「葉」である。
  葉に養分を、エネルギーを備蓄する。
  葉に備蓄する程度の乾期・・・という見方もある。
  激しく厳しい乾期なら、葉に備蓄した位ではダメだからである。
  と・・・いうことは、乾期でも夜露、夜霧・・・・場所によっては午後から霧が発生する。
  葉に備蓄したエネルギー。
  このエネルギーが枯渇するような栽培環境にしてはならない。
  乾期の仮休眠時でも生きるための呼吸作用は行っている。
  高温性のパフィオの仮休眠。
  これは、温度も光も十分あるのに、水がないために起こる生育停止である。
  SUGOI-ne栽培では、この偽休眠?・・・・仮休眠はない。
  低温性の休眠。
  SUGOI-ne栽培では、温度を少し上げれば、ほとんど休眠はなくなる。
  
  こういうことを見ると、パフィオは、
  コチョウランの乾期対策機能をもち、Cymbidiumの光合成機能を備えたランのようである。
  コチョウランの葉は養分、水分の貯蔵庫。
  Cymbidiumの葉は約3年生きて光合成を行なう。
  この二つを合わせたものがパフィオになる。
  この二つの機能を持てば、バルブは必要ではない。
  乾期に夜露、夜霧などの水滴を・・・溜めて吸収する機能を備えれば、バルブは必要なくなる。
  パフィオの葉組は水滴、水が溜まるようになっている。
  パフィオ栽培において、この葉に水が溜まれば病気が出るというのは、
  恐らく間違いだろう。
  水がたまって病気が出るようなものなら、モンスーン気候の雨期を生きることは出来ないからである。
  そんな水で病気が出るような株にする栽培に根本の問題がある。
  こういうのを濡れ衣という。
  葉を濡らさない雨など世の中にはないからである。
  葉を濡らさない霧などないからである。

  高山植物を見れば良く理解出来る。
  ガスは、霧は・・・・葉を花を濡らしている。
  でも、病気の高山植物など見たことない!!
  
  Cymbidiumもパフィオも、
  夕方葉を濡らさないと・・・・病気が出やすい身体になる!!
  当然、葉は3年生きられない。
  エネルギーが消耗するから・・・・備蓄の枯渇した葉は黄変して朽ちる。
  株に付いていれば・・・
  なんか昔の姥捨て物語である。
  世代を継続するというのは、厳しいものである。
 
  この場面で、SUGOI-ne栽培なら、ラン菌が行炭素循環の糖があるから、
  株が極限まで落ち込まない。
  炭素循環のないコンポストでは、この場面でダウンとなる。
  エネルギーの安全保障の問題である。
 
 ランというのはバルブがあればあったで難しいし、無ければないで難しい。
 ラン菌が居れば・・・・どうにかなるものであるが。
 人間の身勝手な見解、解釈、定説・・・・。
 これまでのラン栽培法なるものが、本当に正しいのかどうか。
 本当に正しいのであれば、自生地再生など無造作に出来るはずであるが・・・・・
 ラン菌の居ない、炭素循環のないコンポストでの栽培では、なんともならない。
 肥料で片付く問題ではないからである。

 葉が朽ちるまでの経過は、DNAの問題で、小手先の技術ではなんともならない。
  


 葉の老化と光合成。
  葉の老化は葉が展葉した時から始まる。
  パフィオでは止葉が展葉したときから始まると考えられる。
  成株では止葉が出れば花を咲かせることになるが、
  三代の葉は、この花を咲かせ実を結ばせることと、次の世代の新芽を伸ばすために光合成を行なう。
  CAM型植物のランは光合成の効率の悪さから、一代の葉の光合成エネルギーでは、
  この二つのエネルギーを賄いきれない。
  三代の葉が必要になる。
  パフィオでは、この三代の葉が重ならないようになっている。
  重なれば日陰になって光合成が出来ない葉が出るからである。
  Cymbidiumもカトレアもデンドロも・・・・。

  自生地では、合理的にこの三代の葉が光合成出来るようになっているが、
  温室で栽培したとき管理を誤ると、葉を一気に老化させることになる。
  バルブの持たないランでは、非常に激しい老化が起こる。
  特に低温性のパフィオでは、冬から春の期間に、葉の温度を高くするような換気では、
  この老化が激しく、ナンプ病の原因になる。
  三代の葉が必要なランで、最も管理者の能力が問われるのは、春先の葉の温度管理である。
  これは、Cymbidium栽培でも同じである。
  ヒマラヤ系のランに共通したものである。

  カトレア栽培とCymbidium、パフィオ栽培の最も異なるところである。
  カトレア温室でCymbidium、パフィオの育苗は出来ない。
  春先の温度管理の問題である。
  この時期に葉の温度を高くすると、3年前の葉は一気に老化して黄変し、枯れ葉になる。
  新旧の葉の選手交代時期より早く・・・引退となる。
  これでは、新芽が元気に伸びられない。
  クチクラ層が貧弱。
  ナンプ病・・・・多発となる。

  Cymbidiumのメリクロンの場合は、新しい苗のローテーションで行うから、
  株が若いから、どうにか鉢物出荷できるが、
  パフィオのようにメリクロン出来ないランでは、株を維持するには株分けになるので、
  この三代の葉の老化を出来るだけ遅くする環境つくりが大切になる。

   老化には次のようなことが関係する

    葉の高温(換気不良、強光、直光)
    紫外線による活性酸素による光合成機能破壊。
    乾燥
    風
    栄養不足
    病気
    害虫
      


 SUGOI-ne栽培と葉の老化
   SUGOI-ne栽培では、他の管理が適確に行われた場合は、
   葉の老化は非常に遅くなる。4年も若さを保つ。
   老化を防止する。

  光合成が活性化する。
  これは「ラン菌」の炭素循環の「糖」が深く関与している。
  燐酸がラン菌によって供給される。

  菌根菌植物において、菌根菌の働きは非常に重要な意味を持つ。
  光合成に深く関与しているからである。
   
    パフィオの葉の寿命について

                             パフィオ栽培の重要なポイント
HOME     BACK    NEXT

konnposuto 1051