なぜ枯れ葉、枯れ落ち葉なのか。

  近頃の有機農法、有機栽培は、
  自然の「枯れ葉」ではない。
  前記したように枯れ落ち葉には、
  窒素成分が少ないから、
  酵母、乳酸菌のように醗酵させる
  菌は住み着かない。

  この理由で、必ず窒素を添加して
  醗酵、腐敗させている。
  ブナ林に堆積した枯れ落ち葉は、
  醗酵しないで、数年にわたって
  堆積している。


 腐葉土は、枯れ落ち葉に、
 米糠、厩肥などの窒素の多い
 ものをミックスして醗酵、腐敗させて
 作る。
枯れ落ち葉

 ラン科植物は地球上の各地に26000の原種が生息しているといわれる。
 南極大陸、サハラ砂漠、ゴビ砂漠などの極端に寒冷な地域、極端に乾燥する地域には自生しない。
 その他の地域にはほとんど自生する。
 ランの自生地には一つの共通点がある。
 その一つに「枯れ落ち葉」がある。
 この枯れ落ち葉こそ、ランにとって最も大切なラン菌による炭素循環による糖を作る原料である。
 
 しかし、不思議なことに、これまでおびただしいランの本が書かれたが、
 この枯れ落ち葉に言及した本はない。
 ラン菌による炭素循環の糖について書かれた本はない。

 宇井清太によるラン菌の発見。
 このラン菌を含む用土SUGOI-neの開発によって、自生地における「枯れ落ち葉」。
 枯れ落ち葉のラン菌による分解、そして作られる糖のことが明らかになってきた。
 一つの発見が革命的にラン栽培法を根本から変える。
 これまでのラン栽培法を根底から覆す。

 
 枯れ落ち葉の成分
   植物には落葉樹、常緑樹があるが、一年で葉を落とす、2年で葉を落とす、
   3年で葉を落とす樹木がある。
   草には一年草、二年草、宿根草、多年草というように葉の落ちる、枯れる年数に違いがあるが、
   どんな植物でも光合成を行なう葉は、常に新しい葉を作り、より多くの光合成を行なうために
   新陳代謝を行っている。光合成を行なわなくなった葉は落葉する。
   又四季のある地帯に生育する草木は、低温期には光合成できなくなるので、落葉させるものが多い。
   いづれにしろ植物の葉は、早かれ遅かれ落葉、枯れ落ち葉になる。
   葉は植物にとって光合成(炭酸同化作用)を行う器官であるが、養分、水分の貯蔵庫でもある。
   そのまま落葉させれば、多くの養分を失うことになるので、
   植物は落葉する前に葉にある養分を本体に移す。
   移した後に落葉させる。
   したがって落葉した枯れ落ち葉にはほとんど養分は残っていない。
   

 
主な有機物のC/N比 (%)

    
種類         全炭素         全窒素          C/N
 
  麦稈              40〜45       0,5〜0,7          60〜80
    イナワラ            40〜45        0,7〜0,9          50〜60
  
 落ち葉            40〜45         0,8〜1,5         30〜50
 
  牛糞             35〜40        1,5〜2,0          15〜20
   鶏糞             30〜35         5,5〜5,5          6〜8
   糸状菌                                            9〜10


 上記の表からもわかるように枯れ落ち葉には窒素が極めて少なく全炭素が40〜50%も占めている。
  枯れ落ち葉は葉を構成するセルロース、リグニンなどの高分子の炭素化合物で形成されている。
  炭素率が約40以上の窒素の少ないものには醗酵、腐敗させる酵母、乳酸菌は繁殖しづらい。
  このようなものには材木腐朽菌が繁殖して分解する。
  材木腐朽菌が繁殖しても醗酵しないから醗酵熱は出ない。
  枯れ落ち葉を腐葉土にするためには窒素の多い牛糞、鶏糞などを混合する。
  そうすると醗酵、腐敗して・・・葉の腐った腐葉土が出来る。
  ブナ林では、枯れ落ち葉が何年も前のものが堆積している。
  窒素が少ないために醗酵できないので、何年も前枯れ落ち葉が原形をとどめることになる。

  
  水ゴケ
   高山、寒帯に生える水ゴケには、ほとんど窒素が含んでいないから、しかも低温だから、
   乳酸菌、酵母更に材木腐朽菌の繁殖も極めて少ない。
   水ゴケの自生地では何十年も微生物によって分解されることはない。
   この状態で堆積したものがピートモスである。
   水ゴケがラン栽培に使用されてきた大きな理由は、水ゴケの炭素率の関係である。
   水ゴケは枯れ落ち葉を分解する材木腐朽菌すらも繁殖出来ない貧しい栄養状態だからである。
   3年はどうにか保つ。
   この劣化が遅い理由で使用されてきた。
   ヘゴ、オスマンダも同じ理由である。


  バーク
    樹皮に材木腐朽菌を繁殖させ、分解させ残ったものがバークである。
    つまり材木腐朽菌が食べ残した栄養のすくない樹皮の組織がバーク。
    材木腐朽菌が繁殖出来ないから3年保つ。
    この理由でバークがラン栽培に使用されてきた。

 水ゴケもバークも、これに窒素を与えれば、窒素大好きな微生物が繁殖することになる。
 この微生物の分解でやがて水ゴケもバークもボロボロになる。
 この分解が目つまり、排水不良となって根腐れを誘引する。
 つまり、ラン栽培では、コンポストを劣化させる微生物、材木腐朽菌は敵なのである。
 これが蘭界の常識となった。
 この理由で、材木腐朽菌による炭素循環は、ラン栽培から削除されることになった。
 水ゴケ、バークより分解の早い枯れ落ち葉など、蘭界から見向きもされないことになった。
 
 山野草会の分野では、高山、亜高山の植物が栽培されることが多い。
 この用土の枯れ落ち葉をミックスすると、
 日本の平地の夏の高温で枯れ落ち葉は材木腐朽菌によって早く分解されることから、
 山野草会の分野では枯れ落ち葉は削除された。
 軽石、赤玉、鹿沼土という劣化の遅い用土が定着した。
 自生地における枯れ落ち葉の炭素循環など想定外のものになった。


 以上のようにラン栽培は自生地再現すること言いながら、
 コンポストにおいては、ラン菌削除、不在、炭素循環のないコンポストで栽培するという、
 自生地再現とは程遠い栽培法が定着している現状である。
 このような栽培法が今後も行われる限り、
 ランは難しい。
 ランを咲かせられない。
 ランが枯れる。
 この問題を解決することは出来ない。今後も・・・・。

 地球に自生する90%の植物は枯れ落ち葉(植物の死骸)の中自生する。
 昆布類が海から陸上に上がったときから・・・・
 何億年にもわたって植物は、植物の死骸、枯れ落ち葉の中で生きてきた。
 そこのは死骸、枯れ落ち葉を分解してくれる微生物がいる。
 この微生物由来の養分がなければ生きられない仕組み。
 これが地球の炭素循環である。

 水耕栽培・・・・。
 炭素循環、窒素循環を超えた栽培のように見えるが、
 微生物が分解しているものを化学薬品で代替しただけのものである。
 ナドソンのラン無菌培養基。
 本当に人為的な薬品調合でラン栽培は出来るのか。
 現在、ようやく多くの人が、何か足りない・・・
 何か違う・・・と栽培現場で感じている。

 この何かこそ・・・自生地における枯れ落ち葉、ラン菌による分解・・・炭素循環である。
 これまでの記述で、炭素循環のないラン栽培が、
 いかに自生地をかけ離れた無謀な栽培であるか理解出来よう。



 
ランの枯れ落ち葉
  ランの進化は葉の新陳代謝においても多様である。
  10年以上も落葉しないものもあれば3年で落葉するものもある。
  一年で落葉・・・枯れ落ち葉になるものもある。


  落葉。
  この言葉すらも当てはまらないランの種類も多い。
  落葉とは、本体から切り離され文字通り落葉することである。
  茎、枝と葉柄、又は葉の境目に「離層」を持ち、
  ここに離層ホルモンが出て・・・落葉の際に出来る傷口を癒合させた後に落葉する。
  樹木の紅葉、落葉はほとんどこのパターンである。

  ランの中にも、このシステムを具備しているものが多い。
  Cymbidium、デンドロ、カトレア、バンダ、コチョウラン・・・・
  ところが、パフィオ、エビネなどには「離層」がない。
  落葉できない!
  本体に付いたまま枯れ葉になる。
  問題はここである。
  この枯れ葉は、ここに棲んでいるラン菌(材木腐朽菌)が分解して、
  この分解糖を・・・株が吸収して生きることになる。
  こういう離層の持たないものは、ほとんどその場所では負け組みの植物である。
  養分の争奪戦いにおいて、他の植物に勝ち目はない。
  株の周囲の狭い範囲に、自らの枯れ葉をも栄養源にしなければならない。
  非常に狭いエリアであるが、自ら枯れ葉を用いて炭素循環のシステムを構築している。
  自給自足の炭素循環である。
  
  以上のような状態の自給自足は、大株になってからのことである。
  プロトコームから芽生えて数年の小さな株では、枯れ葉はないか、少ない。
  この状態では己で炭素循環を構築できない。
  問題はこの小さな株の時代に、どうやってランは生き延び生長できるのかということである。
  この講座の最も重要なテーマがここである。

  一般の植物の種子には「胚乳」がある。
  発芽して相当大きくなるまで、この胚乳のエネルギーで生長する。
  イネでは本葉7枚位まで、大豆では・・・・。
  ダイコンでは・・・・。
  マメモヤシ、カイワレダイコン・・・・胚乳のエネルギーで発芽成長したものである。
  しかしランの種子には胚乳がない!
  どこからエネルギーを得ている????・・・自生地で。
  ラン菌による炭素循環ラン栽培法は、ここの問題にメスを入れる栽培法である。
  つまり、小さな株が健全に育つ栽培であれば、大株など無造作に栽培出来るからである。

  
  これまでのラン栽培法では、このステージ時代の栽培理論がない。
  なぜなら「ラン菌」が生きているコンポストがなかったからである。
  SUGOI−neの開発で、初めてこのステージの栽培理論が出来た。


  枯れ落ち葉の分解速度
    (枯れ落ち葉の炭素循環速度)

  地球上の植物のあるところでは植物の死骸、枯れ落ち葉がある。
  これが分解されないで、そのままでであれば、
  地球上は枯れ落ち葉と植物の死骸で埋め尽くされる・・・・
  いや、そんな単純なことではない。
  死骸、枯れ落ち葉が分解された養分、炭素循環がないから、
  植物も動物も生きられない世界になる。
  例えば、象。
  象を化学分析すれば、蛋白質の肉の塊である。
  だが、象は肉食動物ではない。
  草、植物を毎日何百kgも食べて・・蛋白質の身体を作った。
  この植物が行う光合成が、象の身体を作った。
  
  植物の死骸、枯れ落ち葉を食べ物にしている生物である微生物。
  枯れ落ち葉が微生物によって分解されて出来る養分。
  植物に必須元素16種の中で、この分解の中にかかわるものが多い。
  その中で糖の・・・C,H、O元素。
  植物の光合成は、この三つの元素から糖を合成するものであるが、
  枯れ落ち葉はほとんどセルロース、リグニン、ペクチンなどの糖の塊である。
  これを微生物が分解するシステムが微生物による炭素循環である。
  地球の地下などで密かに行われている枯れ落ち葉の炭素循環。
  このシステムを利用して生き続けるのがラン科植物である。
    この微生物の炭素循環は反芻動物の牛などの胃の中でも行われている。
    牛の胃の中に住み着くセルロースを分解する細菌。
    メタンガスを作る。
    牛のゲップ。
    これが地球温暖化ガスとなるという・・・・。
    何百万頭の牛のゲップが作る炭酸ガス。
    枯れ落ち葉から材木腐朽菌が分解して作る炭酸ガス。
    それ植物が吸収して光合成を行なう・・・。

  植物の死骸、枯れ落ち葉の分解は、分解する微生物の活動にかかっている。
  微生物の活動は温度に左右される。
  アマゾン、アジア、アフリカの熱帯雨林は一年中高温多湿。
  微生物は年中活動できるから枯れ落ち葉は短時間で分解される。
  したがって、熱帯の土壌表面には枯れ落ち葉の堆積は少ない。
  シベリア、カナダのタイガー。
  水ゴケ、カラマツ林の世界。
  低温だから材木腐朽菌の活動は夏の短い期間に限られる。
  水ゴケは分解されないで堆積する。
  これがピートモス。
  有機酸の集積で強酸性。
  ここにツツジ科のブルーベリーが細々と自生する。
  水ゴケの上に舞い落ちる唐松の葉、ブルーベリーなどの葉。
  ここにも細々とした材木腐朽菌の営みがあり、僅かな炭素循環がある。
  この僅かな養分を吸収するために菌根菌を利用している。
  カラマツもブルーベリーもランと同じく菌根菌植物である。
  こういう場所にもラン科植物は自生する。
  アツモリソウ、ハクサンチドリ類・・・・。
  日本の高山にも枯れ落ち葉の炭素循環はある。
  高山にもツツジ科植物が多くが自生する。
  菌根菌植物と炭素循環。

  豊富な枯れ落ち葉に自生するランも多い。
  その究極が「腐生ラン」。
  「腐生植物」。
  SUGOI-neの開発には、この腐生植物、腐生ランの枯れ落ち葉の
  炭素循環が組み込まれている。

  現在の園芸、農業で欠落しているのは、
  自生地における枯れ落ち葉の炭素循環である。


 枯れ落ち葉に生きている植物を、
 水ゴケ、バーク、軽石で植えるという現実。

 山野草ではなんでもかんでも軽石、赤玉、鹿沼。
 雑木林の早春の花達をも、軽石、赤玉、鹿沼。
 枯れ落ち葉の炭素循環は削除である。
 どこか間違ってはいないだろうか?????


    
 
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