椿の花弁の死骸。
 これを分解するのは材木腐朽菌である。
 枯れ葉も同じ。
 コケの死骸も同じ。

 ランの自生地には、必ずそれがある
ランは菌根植物である

 ランは菌根植物であることは、ラン栽培者なら知識としてほとんどの人が知っている。
 だが、自分が栽培しているランの根が、菌根になっているか、いないかなど・・・
 全然考えたことがない。
 そういう人がほとんどである。
 花のサイズを定規で測り記録しながら、根本である「根」には興味がない。
 こういう馬鹿げたことが現在の日本のラン栽培の現状である。

 ラン栽培者は・・・ランを愛しているから・・ランが女王様である。
 ランが主役と思う。
 しかし、植物の世界では、ランは新参者、端役である。
 ランの自生地では、地上では喬木が主役である、支配者である。
 根の地下の世界はどうか。
 喬木の根は主役ではない。
 地下、地面の世界は微生物の世界である。
 地球に植物が誕生する前から、地面には微生物が住んでいる。
 植物そのものが、微生物からみれば新参者である。

 これがラン自生地の現実である。
 自分が落とした葉を植物は処理できない。
 微生物が処理している。
 植物の中で狡猾にに進化した植物が現れた。
 この菌とパートナーとして同居する植物があられた。
 これが菌根植物である。
 地球上には植物にとって過酷な劣悪なエリアが多い。
 そこで生きるには・・・以前から棲んでいる微生物と共同生活する方法がある。
 ランは、植物界の怠け者である。
 スローモーな生長は、動物のナマケモノと同じように・・・シタタカナ計算がある。
 スローモーだからこそ生き残れる・・・・。
 そのためにはラン菌の力を利用する。

 ランという植物はスタートにおいて、
 ラン菌がいなければ発芽できないという絶対の条件がある・・・自生地において。
 ラン菌がいなければ地球上に存在しない生物である。

 ところがナドソンの無菌培養法が開発された後、この「絶対条件」が否定された。
 同時にラン菌の存在の有無も栽培現場で重要視されなくなった。
 ラン菌のコンポストとは、蘭書の中で数行程度記されるだけである。
 学術書には菌根植物と記されている。
 代表的な植物は・・・赤松、ツツジ科植物、ラン科植物。
 菌根菌には内生菌と外生菌があって、ラン菌は・・・内生菌。
 ・・・・・
 しかし、ラン栽培現場では、この菌は無視、削除されて続けてきた。
 フラスコで多数の苗が無菌状態で作れる!

 そうして、ランは、菌根菌植物であることが視野から消えた。
 自分のランの根が菌根になっているか否かなど・・・
 全然考えないラン栽培が横行することになった。
 本当に菌根菌植物が菌根になっていない根でよいのか????
 本当にそれで健康な元気を維持出来るのか????
 この疑問を提示するのがこの栽培法である。

 無菌培養、メリクロンのフラスコ内で発生した根は、当然であるが菌根ではない。
 細い。
 その根はイネの根とほとんど同じ構造である。
 この苗を無菌の「人造水ゴケ」で植える。
 一年後も細いイネの根と同じ。
    日本の山山から水ゴケが乱獲されなくなったとき、某繊維メーカーが人造水ゴケを製造した。
    これを使用してメリクロンの苗を作ったことがある。昭和50年頃である。
    当然肥料を与えるが、その生育、根の発生は日本産の水ゴケより極端に悪かった。
    この根に生油粕を与える。
    そうすると、細い根の先端から根は変形して太い根になる。
    この現象は、無菌培養の苗を日本産の水ゴケで植えた時も観察することが出来る。
    ところが、ニュージランドの輸入水ゴケでは、この現象は見ることが出来ない。
    人造水ゴケと同じように細い。
    生油粕を与えるとニュージランド水ゴケも太くなる。

    滅菌した軽石、バーク栽培に化学肥料で栽培したときも人造水ゴケと同じである。
    ランでありながらランの根になれない。
    パフィオのクリプトモス栽培でも根は細い。
    菌根になれない。
    この菌根になれないコンポストというのは、本当にランは喜んでいるのか????


    日本の赤松。
    オーストラリアに植えた。
    全部枯死した。
    オーストラリアに赤松の菌根菌が生息していなかったからである。
    その後、このことが解明されたことで、菌根菌も同時に移植したところ、
    立派にに生育した。
    赤松にはマツタケ菌はじめ約500種の菌根菌が共生している。
    
    このことと、現在のラン栽培は似ていないか?
    自生地から原種を採取して日本に持ってくる。
    植えるコンポストはラン菌のいない水ゴケ、バーク、軽石・・・・。
    間違っていないのか????

    
 自生地におけるランはラン菌との共生が絶対的条件である。
 ラン菌の生息しない場所にランの自生はありえない。

 しかしランの栽培場にはラン菌はいない。
   (ラン菌の生息している蘭園も・・・あるかも知れないが、調査したものがない)
 ここにラン栽培の諸問題があるのではない???
 
 現在の農業、園芸の研究で最も遅れているのが、菌根菌、菌根植物である。
 肥料与えて農薬散布という農業の多収穫栽培農法が、ラン栽培にも広くゆきわたり横行している。
 肥料メーカーが作り出すラン栽培。
 その栽培には、ラン菌の働きが削除されている。
 肥料というのは、人間が土地から収穫するからである。
 持続可能な農業を行うために不足した養分を補うためのものである。
 ラン栽培において「肥料」という言葉を使うのは間違っているのではないか????

 本当にラン菌というのはランの発芽ステージの時にのみ共生、関与しているのか。
 大きな株になればラン菌はランにとって不要な存在なのか。
 現在のラン栽培の最も欠落しているところは・・・ここのところである。
 誰も研究した人はいない。
 どうしてなのか・・・・
 これまで、誰もラン菌入りのコンポストを開発出来なかったから、
 研究試験出来なかった!

 この菌根植物の根本が解明されないまま、ランの栽培法が書かれてきた。
 ランの本を読めば読むほど、ランが作れなくなる。
 ランを枯らすことになる。


 
HOME
BACK

kouza6