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この交配の花

Alexanderiの子孫は2000年現在で8代9287交配でCymで最多である。
Carol Cox
Via Tranquila
Stanley Fouraker
pumilumのアルビノ
Durham Castle
Early Bird
Alexanderi”Westonbirt”
           FCC/RHS
第二報は別の機会に掲載
Cymの育種も10代目になり、原種の花姿からは想像も出来ないまでに進化した。多くの原種の中でerythroは特異な存在で、いよいよその能力は発揮されて、遅咲き以外のCymではほとんどこの系譜に属するまでになっている。素晴らしい遺伝子はますます広がって行くであろう。
21世紀はerythrostylum系満開
宇井 清太の
Cymの育種の重要なテーマの一つとして蝋質の花弁がある。つまり百合のような弁質をCymに求めて交配された。これをj可能にしたのがAlexanderi系であった。AOS,RHSの審査基準に蝋質の花弁は重要な項目であることが記されている。重厚な色彩がCymの優れた個性である。この色彩が西洋の美学、東洋の美学を併せ持つランにした。
私は多くのAlexannderi系の銘花を栽培してきましたが、日本の夏の高温による老化の問題を解決できないできました。この問題を解決しようとしたとき
erythroの耐高温性に注目しました。erythroの色彩はAlexandri系の色彩とは異なり、非常な透明感が特質である。
私は雪国で育った。雪、氷の持つ透明感は私の特質でもあり、erythroの透明感とは共通するものがある。私の交配のテーマは透明感のあるCymになった。日本人の感性にあったCymが出来たようである。

 宇井 清太のテーマは透明感
上記の白花の育種の流れの中で、世界の育種家は優れた交配親を探すことに努力し、
多くの個体が選抜されています。
しかし、その系譜を考察すると、その中に脈々と「Alexanderi」が流れているのを見ることが出来る。
「Alexanderi神話」は現在も生きているのである。このような遺伝力の強さは他のランでは見ることが出来ない。
Alexanderi型の花容は1960年代で大型、中型、小型の全てのCymにおいて完成した。
その後の育種の方向は、メリクロン技術の開発によるフラワービジネスの発展の中で、
産業用としてのCymが求められ、切り花、鉢花としてのCymも育種の一つの方向になった。
即ち、鉢花では鉢、葉、花、ステム、花立ち・・・・などのバランスの取れた品種がもとめられ
るようになった。特にこの傾向は日本で強く求められています。
切り花では、花保ち、ステム剛直、色彩鮮明、花立ち極良い・・・・・・ものが求められるようなりました。
Cymの育種も花そのものの改良から産業へと変化しています。その時代の要求に応えるCymとして
注目されたのがerythrostylumです。この原種は非常に強い生命力を持っていることが解明され、
前記したerythro系の白花は交配親として非常に多く用いられるようになりました。
Alexanderi系の3nの個体は、素晴らしい花ですが、老化し易く株が大きいことが欠点として出てきました。
現在のCymの交配は、白花については、erythro系  x  Alexandri系の交配親が用いられている。
この交配の中に素晴らしい白花が続出している。私の白花のほとんどの品種はこの系統である。
この系統の素晴らしい点は、小型から大型まで育種に使えることである。花径5cmから17cmの
巨大輪まで創ることができる。
1970代はerythrostylum再発見時代
Olymilum,Sweetheart,Sarah Jean,Pendragon,
上記の品種を交配親に用いて現在多くの銘花が作出されている。この中にピュアカラーの小型Cymがあります。

2nの小型白花

pumilum  x   Alexanderi系
ensifolium  x  Alexanderi系
       Ayako Tanaka, Autumn king
純白のCymをつくる・・・・この課題もCymの大きな目標の一つであった。
ラン科植物には多くのランでアルビノが発見されている。Cymでは東洋ランでは「素心」として
特別に扱われてきました。西欧のラン界では植物学的にアントキアン色素を欠如した
個体をアルビノとして分類しているが、Cymの原種にも発見された。
交配の初期においてlowianum,ebumeum・・・・などのアルビノが交配親に用いられたとおもわれる。
現在ではピュアカラー花はメンデルの法則通りで作出出来ることが解明されたが、
1960年代までは、偶然生まれる突然変異株として選抜された。
著名な品種にSussex Dawn, Durham Castle,
1970−1980年代になってオーストラリアのVally社において多数の交配が行われ
銘花が多数作出された。
ピュアカラー純白花の作出
EveningStar,Jana,Showgirl,
3n,4nの中型白花  
Atlantes,Early Bird,Earlyana,October,Redwood,Stanley Fouraker,
Windsor,など・・・・・・現在のシンビの育種の主流の系譜になっている。
erythrostylum系の白花
Auriga,Baldur,Curlew,Jason,Miranda,Olympus,Pearl,Ruth,など・・・・・
2倍体Alexanderi系の白花
1930−1960年代は前記したように3n、4nのシンビの黄金期であるが、より多様な方向を求めた育種家もあって、2nの白花も数多く作出された。特に注目する交配としてベトナム原産のerythrostylum系の交配が多く行われたことである。erythroの交配はペタルが開かないことで、この時期まで交配親としては見捨てられた原種であった。erythroは秋咲きのシンビで、早咲きのシンビの作出のために用いられることになった。
このerythro系の品種が後年素晴らしい品種を続出させることになる。
2倍体の大型白花
1956年、日本の池田成功氏によって東洋ランのキンリョウヘンpumilumと大型Cymの交配がOisoとしてRHS登録されると、アメリカ、英国、オーストラリアなどで新大磯系として、pumilumを親にして多数の交配が行われた。pumilum x 2n大型は小型シンビ、pumilum x 4n大型は中型シンビといわれるシンビはこの時代に完成した。
この交配の中に白花の小型、中型の銘花が生まれた。pumilumには白花のアルビノの個体(白花キンリョウヘン)があり、この個体が交配に用いられた。
この交配は、♀にキンリョウヘンに♂に大型を用いると種子が取れるために、♂には前記のAlexandri系の4nの交配親が多く用いられた。中には2nのAlexandri系の交配親Olympusも用いられ小型白花の銘花Olymilumを生んだ。この2nのOlymilumがその後素晴らしい品種を生むことになる。
同じ時期に東洋ランの駿河ランensifoliumも交配親に用いられ秋咲きの白花が作出された。
小型、中型の白花を求めて
Alegria,Alexaderi,Arabian Night,Balkis,Buxom,California,Clleo Sherman,Cygnus,Delrosa,Dorchester,El Capitan,EttaBarlow  Joan of Arc,Jungfrau,Leedja Cleon,Lillian Stewart,Lionello,Mary Ann,Naomi Starke,Naples,Pearl−Balkis,San Francisco,Stanley Fouraker,Starlight,Swallow,Thelma. 
この時代に作出された大型白花の銘花    1930−1960  3n 4n
この4倍体の個体が発見されると、多くの品種と交配された。
育種する者であれば、未来の可能性を夢に描く。サラブレッドの改良でも同じこと。Cymに夢を追う者はこの個体の出現に大きな希望を持つことが出来た。
この個体によって3倍体のCymを創ることが可能になったからである。3nの植物は非常な強健な性質を持つものが多いことが知られていたからである。例えば、バナナ、鬼百合、ブドウ・・・・・・Cymの3nに理想の花が生まれる期待が大であった。
このAlexanderiの4nが発見されると、他の品種の染色体も調査され次々に4nの個体が発見された。その後のCym の白花の進化には多くのAlexanderiの子孫が交配親として用いられた。Alexanderiの発見から約10年後の1930年代以降に白花の銘花は繚乱と咲き誇ることになる。
白花の改良に用いられたAlexanderiの4nの子孫 
   Balkis, Cleo Sherman, Desiree A’Logann, Dorchester, Etta Barlow, Joan of Arc, Rosanna, Stanley Fouraker,    Atlantes, Fred Stewart, 
 (Alexandriには2nの個体もあり、2nの個体も交配親に用いられ、3nの花とは異なった美しさを持った品種が多く創られている。
 
1940-1960年代、この期間はCymにとって黄金時代であった。前記の優れた交配親を用いての育種は大成功をおさめ、素晴らしい品種が続出したのである。花の改良は究極まで上り詰めた。大型Cymの花はほとんどこの時代に完成をみて、1970年代に入ると、他の系統の交配親を用いて、多彩な花を求めた交配の流れになる。4nを用いた交配は多くの3nの銘花を生んだが、3nは有性生殖によって子孫を残せないため、それ以上の進化は出来ないからである。  
Alexanderi’Westnbirt’4倍体を交配親に使用  
Cym Alexanderiの交配系譜は上記ですが、3種の原種で構成されている。サンダース リストでは基本種、変異種の記載はないので詳細 は不明ですが、lowianumはアルビノが用いられたようである(更に研究の要あり)。フラスコ培養では相当高い確率で変異個体は発生するも のですが、今日では染色体の単純な倍数体への変異は良花の生まれる確率が高いことが知られている。
♂ lowianum
♀ ebumeum
♂ insigne
♀ Ebumeo−Loianum 
Alexanderi
192 年RHSの展示会にCym Ebumeo−Loianum  x  Cym insigneが出品された。
その中にひときわ目立つ個体があった。
花が大きく、整形花、花弁は厚く、強いステムであった。この個体がなぜ他のCymより立派な花なのか?
科学的に究明された。染色体が80の4倍体品種であることが解明された。Cymの2nは40。
植物の世界ではかなり多く見られる変異である。一般的に顕れる外的な形状は細胞が2nに比較して
大きいので、草丈が大きく、花も大きく、根は太く、晩生になる。
栽培上では性質強健なものが多い。
Alexanderi’Westonbirt’ FCC/RHSの登場
RHS(英国王室園芸協会)が設立されたのが1853年。
洋ランはRHSの中で新種の発見、新花の作出を競うことになる。銘花の作出には最新の科学理論が導入され、ラン菌の発見、細菌培養、化学分析の発展確立の中で無菌培養の開発された。1920年代になると数多くの実生新花が美を競う時代になる。Cymも多くの新花が展示されることになる。だが、前記したような雄大なヒマラヤの山々をイメージする花を見ることはなかった。

4倍体Cymの発見

ラン科植物では現在でも毎年多くの新種が発見登録されておりますが、Cym属は19世紀にほとんどの原種が発見されております。学者によって分類の仕方に差違はありますが、アジア圏に約70種自生しているといわれております。
大型Cymの作出に用いられた原種は、いわゆる東洋ランといわれるCymではなく、ヒマラヤからベトナムに至るエリアに自生している原種です。東洋ランといわれている日本春ラン、中国春ラン、キンリョウヘン、一茎九花、報才ラン、カンラン、台湾、中国四川省に自生している多くの原種は、子孫の花が大きくならない。このために大型シンビの育種では使用されない。
花は小さいが、交配を重ねるにしたがって花が大きくなる原種
  
ebumeum,lowianum,insigne,i’ansonii,grandiflorum,erythrostylum,parishii,tracyanum,schroederi, ensifolium. (駿河ラン(ensifolium)はF3の交配では花は中型の8cm程度であるが、私の交配の中に花径11cmにもなる個体が選抜された。)現在の大型Cymは前記の原種が複雑に交配を繰り返されて生まれたものである。

大型Cym白花の育種に用いられた原種

人間がランの人工発芽を手にしたのが1853年。この時から今日までラン界の大きな一つのテーマがCymbidiumの究極の白花の作出であった。
ランには一般に五大属と言われるランがあるが、ラン科の中で最も美しい花が、カトレアとシンビと賞され交配育種され続けた。サンダースリストでランの交配の足跡をたどれば、先達がいかにCymbidiumの花に執念を燃やしたか想像できる。
Cymbidiumの美の原点は自生地の多くがヒマラヤ地方であるためか、西欧の先達が望んだCymbidiumの白花は、ヒマラヤの雄大な白き山々を連想させる花であった。このような花こそCymbidiumのみが可能な美の領域であった。Cymには多くの白花の原種、変種(アルビノ)があり、19世紀後半から20世紀の前半の期間は、可能性を求めて多くの原種(アルビノ)の交配が行われた。それらの交配の目標はより大きい花、より丸弁の花、より厚弁の花、より剛直なステムであった。Cymには東洋ランといわれる小型の領域の花があるが、西欧の初期から1940年代までは小型,中型シンビの交配は行われなかった。
西欧の先達はCymの優れた特質、個性は雄大、豪華、絢爛であると喝破したのかもしれない。Cymのステムは1mを越えるものが多いが、改良が進んでも他のランではCymのような豪快で雄大なステムを未だ持たない。
Cymは交配して種子が熟すのに一年、フラスコに播種して鉢上げ出来るのに一年、花を見るまで4−6年。1910年頃、ナドソン博士によってランの無菌播種法が開発されるまでは親鉢に種を蒔いた。このことを思えば、ランの交配育種による品種改良というのは、他の植物の品種改良とはその困難さに於いて比較できない遠い道であった。人間が理想とする素晴らしい白花はなかなか咲かなかった。
Cymbidium 究極の白花を求めて
    宇井 清太
 Cymbidium白花の系譜とその子孫達      第一報

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