キノコが生えない畑は    夏バテを防げない・・・・。
中国雲南のシャクナゲの自生地。
こういうところに中国ブルーベリーも自生している。

北欧のブルーベリーの森より、
枯れ落ち葉が多く、豊かな炭素循環が行われ、より多くの糖が
生産されている。
ここも「キノコの宝庫」である。
ツツジ科スノキ属植物
 主に北半球に約400種自生している。
 なぜスノキ属植物が北半球に自生しているかということは、前記したように、
 スノキ属植物の先祖は第三紀時代は北極周辺に自生した「第三紀周北極植物」の一つだからである。
 ブルーベリーは南米からカリブ海を北上してアメリカフロリダに上陸していると記述されているブルーベリー本があるが、
 宇井 清太はこれは、大きな誤りであると思っている。

 なぜなら、ユーラシア大陸東部の日本、中国、ヒマラヤからマレーシアに自生するスノキ属植物の「隔離分布」を、
 上記の説では説明できないからである。
 「中国のスノキ属植物」として有名なのが、中国雲南のブルーベリーである。
 右写真参照  Vaccinium  delavayi
 中国雲南省、四川省、貴州省に自生。
 緯度からすると・・・アメリカのジョージア、フロリダに逃避したブルーベリーと、
 遠く離れた場所であるが、進化が似ている。
 この自生地には「シャクナゲ」も自生しており、地表には分厚く枯れ落ち葉が堆積している。
 この状態は、日本のスノキ属植物のクロウスゴ、スノキ、シャシャンボ、ナツハゼなどのほとんど同じ。
 弱酸性である。
 枯れ落ち葉が何年も堆積して分解しない状態では、有機酸で弱酸性になる。
 この弱酸性地表に多くの木材腐朽菌が生息している。
 スノキ属植物が、非常に離れてた隔離分布して生息できるのは、逃避行の中で生き残るために、
 子妙な裏技を獲得したからである。
 それは・・・部分的(潜在的)菌従属栄養植物だからである。

 ブルーベリー業界では、ブルーベリーは北アメリカに自生していた植物だから、
 アメリカの試験場で栽培、交配が行われた植物だから、世界中のスノキ属への関心が無いようである。
 つまりスノキ属の第三紀周北極植物として考察すると、
 前記したように氷河期に北極周辺が寒冷化し氷河が生まれ、そこで生き続けることが出来なくなり、
 逃避するためのルートがアメリカ東部、ユーラシア大陸東部が主なものだったので、
 そのルートで南下したものが、その場所で独自の進化を行った。
 アメリカ東部のブルーベリーと、日本のスノキ属・・・浅間ブルーベリーには違いがあり、
 中国のブルーベリーと呼称される種にも、差異がある。
 地上部には、相当大きな差異があるが、地下部の根、根圏には、大きな差異は見られない
 全て「菌根」である。
 ブルーベリーの本には「ひげ根」。
 朝鮮人参の根も「ひげ根」。
 牧野富太郎の植物図鑑でも「ひげ根」・・・と記載。
 つまり、いまだに・・・・・共生菌が削除された状態で、ブルーベリーの栽培法が書かれている。
 このような本が流布しているが、それを読んで栽培しても・・・立派な果樹園にはならない。
 ブルーベリーは・・・作物まで改良されていないからである。
 故郷の森でなければ・・・夏負けしてしまう。


 この根、根圏に大きな違いが無いところに、スノキ科植物の逃避行の痕跡と、
 南に南下したスノキ属が、その後に遭遇した地球温暖化の間氷期を生き抜いた謎が隠されている。
 現在の地球は温暖化に進行しており、ブルーベリーにとっては、過去何回か体験した夏になっている。
 冷涼な気候の下で進化し、生き続けてきたブルーベリーにとって、
 現在に地球は・・・試練の時代だろう。
 しかし、ブルーベリーにとっては「想定内」のことである。
 ブルーベリーは現在も「菌根」を捨てていない!
 ブルーベリーには多くの葉があるから光合成で全てのエネルギーを得ている「独立栄養植物」に見える。
 しかし、高温等の悪環境になり、十分な光合成できない状況になると、
 腐生植物をパクり、「菌従属栄養植物」と同じように、共生菌から糖を調達していると考えられる。
 ブルーベリーの根は、地表近い場所に伸びているのは、地表には枯れ落ち葉由来の、
 糖、養分があり、菌糸は好気性菌だから、地表に伸びているからである。
 これまで、土壌菌に注目されてきたが、枯れ落ち葉に生息している「腐生菌」が、
 ブルーベリーの森を育てている。
 
 自生地のブルーベリーには3000万年間で得た「夏負け対策」が具備されているからである。
 木材腐朽菌と共生、木材腐朽菌のネットワークの利用である。
 ブルーベリーは逃避行を続ける中でジョージア、フロリダ州の南に地でも、
 中国雲南の地でも生き残ってきたのは、地球上の植物が自生するところには、
 必ず、枯れ落ち葉を「エサ」として生きている「木材腐朽菌」が生息しているからである。
 木材腐朽菌と共生関係を持てば、何処に逃避しても、最低限の生活は出来る。
 同じ兄弟には・・・葉さえ持たないで全然光合成しない者もいる。
 その生き方を・・・少しパクって真似ればよい。
 そういうことで、地球上の地表のどこにでも生息している木材腐朽菌が作る糖を調達した。
 これまで、農業、園芸の栽培法には、この光合成を行わないでも生きられる・・・
 「腐生植物」の養分、エネルギー調達が欠落してきた。
 夏負けはエネルギー不足から起こる生理現象であるが、
 植物のエネルギー調達は全て光合成の澱粉であるというのが常識だから、
 植物の夏バテ防止には「植物活力剤」「植物活性剤」「光合成活性剤」・・・というものが市販されてきた。
 つまり、土壌に、地表に「糖」を作り、植物に供給するインフラはあり得ないということから、
 こういう・・・曖昧な資材が開発販売されている。
 夏バテで弱った樹に、こういうものを与えても、少しは元気になるかもしれないが、
 期待するほどの効果が見られない。
 なぜなら、こういうものは、エネルギー源ではないからである。
 少し、光合成を改善するだけのものである。
 夏バテした植物が・・・喫緊に急いで欲しいのは今日生きるためのエネルギー源である「糖」である。
 肥料では解決しない問題である。
 弱った体では・・・肥料すら吸収できない。
 そういう状態が・・・日本のブルーベリーの夏である。

 ブルーベリー栽培に、ブルーベリーが生き残ってきた根本、原理原則・・・
 自然の法則が欠落、削除されて・・・PHを論じている。
 PHを的確に調節しても・・・夏のエネルギー不足は解消しない。
 ブルーベリーの養分吸収にはPHも大きく関係しているが、それ以上に重要なのが、
 木材腐朽菌が作る糖であり、木材腐朽菌を頂点とした微生物ネットワークである。
 木材腐朽菌の糖に、土壌微生物の多くがエネルギー源として依存し生きている。
 微生物も生きて繁殖するためには糖が必要である。
 
 つまり、結論として言えば、
 ブルーベリー業界は「木を見て山を見てこなかった」!
 ブルーベリーの自生地で、けれ落ち葉をかき分けて、その下の土壌のPHを測定した。
 枯れ落ち葉が堆積している地表の微生物、微生物ネットワークは、
 全然視野に入らなかった。
 現地調査で、最も重要な項目が・・・・想定外であった。
 土壌微生物を調べるとき・・・・
 これまでは、多くの微生物の中から、病害菌を見つけるように・・・
 一つ一つ篩にかけて調べ挙げたのがツツジ科植物は「エリコイド菌根菌」「VA菌根菌」などである。
 大村先生の土壌菌も、・・・ピロリ菌も・・・そうして見つけた。
 しかし・・・植物を元気にする菌は、この手法では見つけることは・・・ほとんど不可能。
 一つの菌で・・・植物が元気になっているわけではないからである。
 その中で、最も未開の領域なのが「光合成」の問題である。
 多年草の光合成。
 ブルーベリーは栽培一年で元気にならない。
 3年前からのエネルギーと、現在の光合成のエネルギーで、生きている。
 つまり、ブルーベリーを上手に栽培している人は、3年間・・・気象条件が同じでない畑でも、
 大きく落ち込まさないことを行っている。
 しかし、木材腐朽菌が生息しない畑では、木材腐朽菌の助けが無いから、
 栽培管理者の能力が・・・ストレートに出る。
 この激しい落ち込みを軽減するには・・・自生地を真似た「木材腐朽菌による炭素循環栽培法」である。
 自生地では、誰も手入れなどしない。
 ブルーベリーは・・・未だ作物にまで進化していない。
 故郷を忘れていない。
  木材腐朽菌のネットワークを畑に構築するという仕事である。 
 植物栽培の根本は、ブルーベリーのおいても「土壌」である。
 ブルーベリーの自生地の枯れ落ち葉が堆積したエリアには「硫黄」はない。
 これがブルーベリーの栽培に欠落しているから「砂上の楼閣」のような観光果樹園、
 観光産業になる。
 10年後・・・無残な「観光ブルーベリー園」になる場合も。
 ブルーベリー畑には、ブルーベリーが獲得した「夏バテ防止」のシステムが無い!
 菌根植物の意味が・・・ほとんど理解されていない。
 リンゴ、サクランボ、梨、桃、ぶどう・・・とは根本的に違う。
 しかし、そういう果樹であっても・・・菌根菌と共生していると言われ始めた。
 話が横にそれるが・・・・・
 ミミズは有機物分解ではなく・・・有機物「解体者」である。
 
 

 なぜ、冒頭に「中国のブルーベリー」を記したかといえば、
 ブルーベリーを研究するとき、アメリカのブルーベリーのみを見るのではなく、
 中国雲南のスノキ植物の自生地の土壌の菌ネットワーク、
 日本のシャシャンボ、浅間ベリー自生地の土壌菌ネットワークを研究すれば、
 日本におけるブルーベリー栽培はどうすれば良いのか・・・少しは見えてくる。
 つまり、耐暑性を考えるとき、「シャシャンボに接ぎ木」程度では、抜本的な、
 夏負け対策にはならないということ。
 シャシャンボの自生地の地表に構築されている菌ネットワークが、
 九州の山で・・・生息出来るようにしているからである。
 シャシャンボの耐暑性のDNAでは・・・これまで生きてこれなかった。

 日本のスノキ属植物と、アメリカのスノキ属植物が交配出来るということは、
 ほとんど同じように生きている植物だということである。
 中国ブルーベリーの自生地は「シャクナゲの宝庫」でもある。
 同じ土壌環境したで、針葉樹も、シャクナゲも、ブルーベリーも生きている!
 「夏バテ防止」の対策をして。
 

 ブルーベリーを研究する場合、自生地には、同じ場所の多くの種類の草木が生きている。
 つまり同じ微生物ナットワークで生きている。
 地表に木材腐朽菌の菌糸が張り巡っている。森を支配する菌ネットワーク。
 エリコイド菌根菌。VA菌根菌は・・・ネットワークを形成している一部の菌である。
 ブルーベリーが特別な植物ではなく、ブルーベリーが作れるようであれば、
 別な植物も同じように作れる。
 北欧のブルーベリーの森にも多くの種類の草木が自生している。
 ところが・・・日本のブルーベリー畑には、ブルーベリーの森の植物はほとんど生えていない。
 キノコも生えない・・・!
 畑に生えているのは・・・日本の雑草である。
 更に雑草防止に・・・イネ科の・・・・ナギナタガヤを植える????
 こういう草が生えている所にスノキ科植物は自生していない!
 問題は、この草は夏に枯れるが、この死骸に木材腐朽菌が生息していれば、
 「枯れ落ち葉」と同じになる。
 つまり、この草が枯れた後に・・・秋にキノコが生えるようであれば、ブルーベリーは作れる土壌になる。
 キノコが生えない場合は「ペレポスト オーロラ1号」をパラパラ撒いて、
 畑に木材腐朽菌が生息するようにすればよい。
 この栽培でも、ポイントは「木材腐朽菌」である。
 ブルーベリーには、一年草の死骸ではなく、もっと分解の遅い樹木の「枯れ落ち葉」が良い。
 ブルーベリーは草原の植物ではないからである。
 


 ブルーベリーの自生地における「枯れ落ち葉」の分解は、
 木材腐朽菌の繁殖によるから、冬が過ぎて夏に向かってだんだん気温、地温が上昇するにしたがって、
 分解速度は速くなる。
 つまり温度が高くなるにしたがって「低分子の糖」生産が多くなる。
 これに歩調を合わせて、ブルーベリーは生長している。
 しかし、更に温度が高くなると・・・ブルーベリーは夏負け状態になり、生長は衰える。
 日本のブルーベリー畑では、ほとんど夏に衰弱する。
 これでは、充実した枝を作ることが出来ない。
 充実した花芽、葉芽を作ることができない。
 来年のために、本当は8月から枝に養分を備蓄しなければならないのに、
 澱粉は枝まで回ってこない!。
 光合成で作った澱粉は呼吸作用と果実に回され、枝にまで回らない。
 夏負けは・・・来年に響く・・・大問題である。
 これが多年草と一年草の大きな違いであり、多年草の泣き所である。
 この問題を、木材腐朽菌と共生することでブルーベリーは解決しているのであるが、
 日本のブルーベリーには木材腐朽菌が削除されているから、
 猛暑で、土壌が乾燥すれば・・・死ぬことさえある!
 つまり、キノコが生えるような畑になれば、砂質土壌でも、粘質土壌でもよく生育する。
 当然、前記したようにPHは弱酸性になっている!








右写真は、ツツジ科ウメガサソウ属 ウメガサソウ。
 部分的菌従属栄養植物。ブナ林の林床に生える低木。北海道から九州に分布。 
 スノキ属植物の自生地と同じ場所で見られる。
 世界では、樺太、千島列島、朝鮮半島、中国大陸の中部・東北部に分布する

 ブルーベリーの属するツツジ科植物には緑葉を持ちながら、共生菌から
 エネルギーを得ている植物がある。
 ブルーベリーが未だに「菌根」を捨てないのは、ウメガソウ的生き方をしている可能性がある。
 ペレポスト栽培で、素晴らしい生育になるからである。





































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中国にもブルーベリーは自生している
       
  ブルーベリーは部分的(潜在的)菌従属栄養植物である
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