はじめに
ブルーベリーは菌根植物である。
ブルーベリーは自生地では、木材腐朽菌を頂点とした菌ネットワーク生き続けてきた植物である。
地球上に自生する植物の中で、劣悪な条件下でも生きることが可能な「ラン科植物」「ツツジ科植物」は、
菌根植物の代表的な植物である。
ブルーベリーはツツジ科植物 スノキ属植物に属する菌根植物。
これは植物を研究する上での常識であり知見である。
しかし、実際の栽培では、不思議なことに、ツツジ科植物の栽培、苗生産、
ラン科植物の栽培において、「菌根」が削除された栽培がおこなわれてきた。
ラン栽培の歴史でも約200年間、菌根を削除して栽培してきた。
ツツジも同じ・・・。
ツツジ科植物のツツジ、皐月・・・は、菌根を削除しても・・・盆栽、庭、公園などに栽植されてきて、
良く育っているから・・・・ブルーベリーも「菌根」削除、共生菌など考えなくとも・・・・
PH調整すれば栽培可能である・・・という観点から、
非常に乏しい経験に基づいて「栽培法」が構築され、本も書かれている。
しかし、ブルーベリーというのは3000万年前の第三紀時代には、
現在より平均気温が約10℃高かったから、北極周辺で生き続けていた植物である。
寒冷な気候の下で生き続ける植物である。
日本列島・・・しかも近年の地球温暖化で、日本の夏は「熱帯地方」の気温に近くなってきている。
こういうエリアで、寒冷な気候で生きてきたブルーベリーを「果樹」として栽培するのは、
農業の大原則の「適地適産」ということから乖離している。
趣味の「山野草栽培」としてのブルーベリーなら、趣味の世界だから成立するが、
農業の、果樹の一翼を担う作物とすれば「適地適産」という原則を無視、削除すると大きな失敗につながる。
現在の日本におけるブルーベリー栽培は、適地適産という観点から、
日本列島は南北に細長い気象を利用して、
ハイブッシュブルーベリー、ラビットアイブルーベリー、その交雑種を利用して、
寒冷地ではハイブッシュブルーベリー、暖地ではラビットアイブルーベリーが奨励されている。
北米アメリカのブルーベリーの自生地を真似た適地選択で、方向性は正しい。
しかし・・・欠落しているのは「菌根」である。
「共生菌」である。「菌ネットワーク」である。
なぜ、ブルーベリーが3000万年以上にわたって「菌根」を捨てなかったのか?
この考察、探求が削除されている。
北米大陸で、北からワイルドブルーベリー、ハイブッシュブルーベリー、ラビットアイブルーベリーと、
自生しているが・・・・、そういうエリアにブルーベリーが自生出来たのは、
「菌根」を具備し、枯れ落ち葉に生息し分解する木材腐朽菌と共生したからである。
スノキ属植物は森林の光合成負け組植物である。
常に澱粉、エネルギー不足に悩んでいる植物である。
このエネルギー不足を、どのようにして解消するかが、最大の課題であった。
そういうことで、夜間に温度が下がる場所を求めて自生しているのであるが、
それでも・・・エネルギー不足である。
これを解決するために・・・地球の陸上に構築されている、
木材腐朽菌による炭素循環システムの中で生まれる低分子の糖を利用することにした。
この低分子の糖は、木材腐朽菌のネットワークでブルーベリーの根に供給される。
この糖で、夏負けを防止していたのである。
枯れ落ち葉のリグニン、セルロースの高分子の炭素化合物を分解できる菌は、
木材腐朽菌である。
他の菌はほとんど窒素のない枯れ落ち葉を分解できない。
ブルーベリーが日本では「夏負け」するが、夏、十分な澱粉を生産できないから起きる現象である。
このことは、北米のブルーベリーの自生地でも起こっている。
木材腐朽菌のネットワークが植物の根に「糖」を供給していることは、
これまでの農業、園芸に・・・全然・・・無かった知見である!
宇井 清太が世界で初めてラン栽培で実証したものである。
これまでの、有機農法、自然農法、自然栽培、EM菌栽培には・・・・・
枯れ葉のリグニン、セルロース由来の低分子糖(ぶどう糖)が、
木材腐朽菌のネットワークで、植物が吸収できる知見はない。
つまり、屋久島の、大王杉、縄文杉が、全島花崗岩で、表土が20から30㎝の表土で、
なぜ7000も生きるづけることが出来たのか。
この謎を説明することが出来なかった。
植物の全エネルギーが、光合成という一つのエネルギー生産で賄うとしてきた理論では、
7000年の気象変化の中で生き続けてきたことを説明できなかった。
別な「エネルギー調達ルート」が、地表に構築構築されているのではないか???
そういう疑問が、木材腐朽菌のネットワークが「糖」を供給していることが解明されて、
ようやく・・・謎が解明されたということである。
ツツジ科植物の共生菌根菌は「VA菌根菌」「エリコイド菌根菌」と顕微鏡下で観察されるが、
この知見は正しいけれども、この二つの菌根菌は「枯れ葉」を分解できない。
つまり「低分子の糖」を作れない菌である。
この二つの菌は、増殖に木材腐朽菌が生産した「糖」をエネルギーにしている。
または、ブルーベリーが葉で生産した糖を根から供給を受けて「増殖」している。
つまり、夏負けしたブルーベリーを応急的に元気に回復出来ない。
夏負けしたブルーベリーが、早急に欲しいのは、今日生きるためのエネルギー、糖である。
人間も夏負けしたとき、病院に行けば・・・応急的に、救急的に・・「ぶどう糖注射、点滴」である。
この応急的な「エネルギー」注入が、これまでの農業にはなかった。
枯れ落ち葉も、木材腐朽菌も畑になかったからである。
ブルーベリー畑にもない。
だからブルーベリーは夏負けし・・・・甘ーいブルーベリーは生産できない。
ブルーベリーの根本である「菌根」を削除した栽培法は「砂上楼閣」である。
PHより・・・もっともっと重要なのが「菌根」と枯れ葉と木材腐朽菌である。
現在流布している栽培法では「夏負け」を防止することは不可のであり、
肥料では「夏負け」を防止することは出来ない。
肥料は「糖」ではないからである。エネルギー源ではないからである。
このまま、現在のようなブルーベリー栽培を続ければ・・・
ブルーベリー「観光果樹園」の人気は・・・おいしくない・・・ということで、
人気を持続することは不可能であるばかりか、産地そのものが崩壊することもあり得る。
ブルーベリーの果樹としての栽培歴史が浅いために、
大きな問題が「盲点」となっている。
この栽培法は、ブルーベリーの自生地を再現した、菌根に焦点を合わせた栽培法である。
更に、ブルーベリーの3000万年の北極から氷河に追われた流浪の歴史から、
自生地を考察し、栽培法を構築した、恐らくブルーベリーの究極の栽培法である。
この栽培法で、これまでのブルーベリー栽培法は一新され、
ブルーベリーが一つの「果樹」として、日本に定着することを願うものである
宇井 清太
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宇井 清太
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木材腐朽菌による炭素循環
ブルーベリー栽培法
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