ブルーベリーは「菌根植物」。
共生菌を利用して、劣悪な場所でも生き続けることが出来るように進化した植物である。
枯れ落ち葉と木材腐朽菌、木材腐朽菌のネっワークと雨水があれば、
ブルーベリーには養分欠乏、微量要素欠乏は起こらない。
植物必須元素16種類。
この元素の調達は、菌根を具備することで出来る。
ブルーベリーは強い酸性土壌を好むとされているが、決して「好き」なのではない。
強酸性土壌では、植物にとって非常に困ったことが起こる!
リン酸が固定して、植物が吸収できない事態になる。
このことは30億年前、植物が海から陸上に上がった時、リン酸を吸収できないという・・・
緊急事態が起こった。
リン酸は、細胞を持つ生物にとって絶対必要な元素だからである。
植物は・・・やがて、この問題を解決することが出来た。
VA菌と「共生関係」を持つことで解決することが出来た。
VA菌が地球に誕生したのは約3億年前である。
つまり、植物はVA菌と共生することで・・・苔、地衣類から・・・草、樹木への進化が可能になった。
これから3億年、現在も、地球の陸上に生きている植物の80%は、
VA菌と共生している。
一度も大陸と陸続きになったことがない海洋島の小笠原諸島、ハワイ諸島の植物の根にも、
VA菌が生息している。
火山島で硫黄で強酸性土壌でも、初期に生息した植物もVA菌と共生して、
リン酸の供給を受けて生き続けることが出来た。
VA菌根菌はリン酸、カリ、水分を・・・菌糸が吸収して植物の根に供給する菌である。
この菌は、枯れ落ち葉のリグニン、セルロースを分解できない。
VA菌が地球に現れた2000万年後の2億8000万年前に・・・
枯れ落ち葉のリグニン、セルロースを分解する白色木材腐朽菌が現れた。
枯れ葉、植物死骸を食べて生きる菌である。
この菌は地球の陸上の「掃除屋」である。
この菌の誕生で、地球の陸上は「落ち葉」で覆われることが無くなった。
若し、この菌がいなかったら、地球は枯れ落ち葉に何10mの厚さに覆われた「星」になっていた。
寒冷で、木材腐朽菌の活動が鈍いところが・・・ピートモス・・・の産地である。
水ゴケがピートモスになるには、一年で約1mmといわれている。
カナダのピートモス産地では、厚さ30m、50mの厚さになっているが、
一年1mmとして100年で10㎝、1000年で1m・・・・3000万年で30mである。
3000万年というのは、ブルーベリーが北極周辺で生きていた時代である。
カナダのピートモスは、ブルーベリーが氷河に追われ南へ逃げた時代からの・・・水ゴケの死骸である。
ピートモスの上層部は・・・マンモスが氷詰めになった第4紀時代の水ゴケ死骸。
有機物が永年分解しないで堆積すると、有機酸で強酸性になる。
ピートモスは「土壌」ではない。
最も劣悪な条件である。
こういう場所で生きられる植物は非常に限られてる
ツツジ科植物。カラマツ・・・・菌根植物である。
更に、こういう場所は、オーロラと雨水で作る「尿素」の「窒素」のみである。
非常に「窒素」が少ないので、植物は生長に必要な窒素が足りない。
こういう場所に生きる植物にとって、生長に必要な窒素が足りないということは「死」を意味する。
そこでブルーベリーはどうしたか。
「エリコイド菌」と共生することを考えた。
エリコイド菌は、堆積したピートモスなどの有機物の中に、わずかに含んでいる窒素を菌糸が吸収して、
ブルーベリーの根に供給する。
非常に貧しい場所に生き続け無ければならないブルーベリーは、
生き残るために・・・あらゆる方策を使ってきた。
これがブルーベリーの「菌根」である。
木材腐朽菌は・・・枯れ落ち葉から低分子の糖を作る。
これを・・・根に供給する。


これに化学肥料を与えれば、どうなるか????
水耕栽培するとどうなるか???


















ブルーベリーを作物、果樹と認識すると・・・・
即・・・肥料で作ることを・・・考える。

しかし、ブルーベリーを・・・未だ自生地の原種の植物に近いと考えると、
アメリカの自生地、日本のスノキ属植物の自生地に肥料を与えた人はいない。
それでも・・・地球上の陸上で、最も貧しいエリアに自生するツツジ科植物4000種は、
人間の与える肥料など要求しないで・・・秘境で生き続けている。
劣悪なエリアを好き好んで生きているのではないが・・・・
何100万年・・・貧しさに耐えて生き続けてきたから・・・・いつの間にか・・・
そういう生き方も・・・貧しさの中で生き抜く手段も構築してきた。
人間でも年収1000万円でも・・・豊かさを感じない生活もあれば・・・・
年収300万円でも豊かさを満喫している人もいる。

現代の日本では・・・「身分相応」という言葉が・・・・
非常に悪い言葉のようになっているが・・・・植物では「受け身」の進化だから、
身分相応にしないと生き続けることが出来ない。
それでも、地球の地表では、光、水分、養分、場所取り・・・に熾烈な争奪戦を繰り広げている。
一年草などでは、去年繁茂した雑草が、今年は・・・全く別な草に代わっている場合も多くみられる。
ところが、多年草というのは・・・・芽生えた場所で・・・永年同じ場所で生き続けなければならない。
10年、20年、100年の単位で多年草の植物の自生地を観察すると、
一年草のような激しさはないが、争奪戦の勝ち組植物が、エリアの優先植物になり、
負け組植物は・・・林床、林縁など細々と生きているようになる。
遷移は・・・多年草の樹木でもゆっくり進行している。
そういう遷移の中でブルーベリー、スノキ属植物は・・・「負け組」植物として、
肥沃な・・・環境の良い場所は、優先植物に占領されているから、劣悪な場所で生きなければならなかった。
非常に悲しい植物である。

こういう「負け組植物」を・・・「果樹」という勝ち組植物の列に昇格させて、
経済作物にに仕立て上げたのが「ブルーベリー」栽培である。
人間は、植物を作物にまで改良できるものと、改良できないものに「仕分け」してきた。
現在作物になつている野菜も、果樹も。穀物も・・・もとになった原種の植物は、
元は・・こんな植物だったのか!
そういう姿をしているものが多い。

そういう鑑識眼の中で、リンゴ、ぶどう、柑橘類、麦、イネ、大豆・・・・などは・・・・
5000年以上前の人が・・・・作物になれるということを喝破した。
この可能性を喝破した能力があった人が・・・ヒトに現れたから、人類は生き延びてこれた。
しかし、こういう作物への改良の歴史から見ると・・・・
ブルーベリーが・・・・作物に成れるのではないか・・・と意識されて育種されたのは、
一世紀にも満たない歴史である。
つまり、アメリカの天才育種家「バーバンク」も・・・・
スノキ属植物には興味を示さなかった。
育種素材としては・・・将来「作物」になり得ない植物とみていたのである。
ワイルドブルーベリーが・・・アメリカに移住してきた人々を助けたことは、
北米移住の歴史を勉強した人であれば、・・・・イロハの知識である。
こういうブルーベリーが、その後長い年月・・・・植物育種の頂点に立つアメリカが、
永年・・・興味を示さなかった・・・。

なぜなのか???
その理由の一つに・・・ブルーベリーは「菌根植物」であり、貧しさに慣れた特性を、
育種で取り除くことの困難さがあったからである。
つまり・・・肥料を与えても「多収穫」出来ない「植物」だからである。
アメリカの農業は、果樹栽培でも・・・大規模、多肥、多収穫で・・・基本である。
これに合致しない
そういうことで、アメリカの主要果樹から外れたままになってきた。


アメリカでのブルーベリーに品種改良、大栽培着手は、新たな果実商品となる可能性ということで、
日本に導入されたのであるが・・・・
ブルーベリーの「菌根植物」という特性が削除された状態で、
全国で栽培が始められた。
栽培がが始まってから間もないから・・・現在は「試行錯誤」の状態である。
「菌根植物」で作物になっているものは、ほとんどないので、暗中模索の状態である。
更に、光合成負け組植物を栽培して、資本主義の中で経済的に成り立つ経営モデルが求められるが・・・
他の果樹は・・ほとんど「光合成勝ち組植物」であり、多収穫で経営が成り立つが、
ブルーベリーは肥料を与えても「多収穫」は望めない植物である。
肥料で栽培すれば・・・木の経済寿命が短くなる植物だから、改植の問題が出て来る。
多収穫を狙わないでも採算が取れる栽培、販売戦略を構築する必要がある。



この木材腐朽菌による炭素循環ブルーベリー栽培法は、
前記したように、肥料を与えない栽培方法である。
与えるペレポスト オーロラ肥料の「生油粕」は木材腐朽菌の「エサ」と考える。
結果として、最終的には、ブルーベリーの「肥料」となる・・・。
生油粕には、窒素。3,3% リン酸2,0% カリ1,0%含有。  
ペレットには広葉樹、針葉樹の全成分。植物ホルモンが入っている。
ブルーベリーの根は、右写真のように根毛を持たない「菌根」である。
肥料を与えたから・・・・喜んで吸収する根ではない。
水分も、養分も・・・共生菌が供給するように進化した植物である。
しかし、日本の畑で栽培されているブルーベリーは「菌根」になっていない!
こういう根に肥料を与えて「多収穫」を狙っても・・・目的を達成できない。
ブルーベリーの根には地上部を支える〈「直根」を持たない!
肥料を与えても「大木」には絶対なれに遺伝子を持っている・・・悲しい植物です。
だから・・・さくらんぼ、リンゴのように脚立を必要ないから・・・・
子供にも向く「観光果樹園」という利用の仕方もあるが・・・。


この講座で何回も記しているが、
ブルーベリーが吸収している窒素は稲妻とオーロラが作った尿素である。
リン酸、カリは・・・木材腐朽菌とVA菌根菌が調達してブルーベリーに供給している。
チッソの少ない場所の生息しているブルーベリーにはエリコイド菌根菌が、
枯れ落ち葉が永年堆積した有機物を分解し、わずかな窒素をブルーベリーに供給している。
同じブルーベリーで、生息場所によって共生している菌根菌に大きな違いがあり、
VA菌根菌が・・・どこの、どんなブルーベリーにも共生しているわけではない。
「ナタギリガヤ」にVA菌根菌が共生しているのは、荒地に芽生えたナタギリガヤに多く共生が見られる。
問題は・・・これまでの農業、園芸で削除されてきた「糖」である!
肥料ではなく「糖」である。
植物はぶどう糖を根から・・・実際問題として「吸収」出来ない。
なぜなら、土壌にぶどう糖を与えても、植物のねが吸収するには数日から10日後である。
このタイムラグで、土壌中の菌でぶどう糖はアルコール発酵する。
植物の根はアルコールを吸収できない。
だから「糖肥料」という資材は開発されていない。
唯一、ぶどう糖を根に供給できるのは木材腐朽菌の菌糸である。
又は、木材腐朽菌のネットワークである。
このことは、ツツジ科植物に「菌従属栄養植物」「部分的菌従属」植物があることで、
証明されている。
ブルーベリーは夏に弱い。高温に弱い植物である。
この理由は、十分に光合成で澱粉を作れないことから起こる「夏負け」である。
人間も、夏の高温時に食欲不振になれば「夏負け」になる。
医者に行けば・・・「ぶどう糖注射」である。
ブルーベリーの根は、非常に乾燥に弱い。乾燥する地表近くに張っている!
なぜ・・・死ぬリスクを冒してまで地表なのか???
木材腐朽菌が作るエネルギーが欲しいからである。
木材腐朽菌は好気性菌、地表近くに生息して、地表に舞い落ちた枯れ葉を分解している。
それでも、自生地では・・・根は生き続ける・・・。
木材腐朽菌の菌糸がブルーベリーの根に水分を供給するからである。
そのりゆうは、自生地では永年枯れ落ち葉が堆積したところに根が張っているから、
畑のように「乾燥」することはないからである!
常に「オシボリの湿度」が保持されている所で生き続けてけてきたからである。
こういう植物を、リンゴ、ナシ栽培と同じ考えで畑に植えても・・・・
なかなか良い生育は望めない!
ブルーベリーを果樹として扱うには・・・相当に難しい。
菌根を持った苗木を販売している所は・・・ないからである!


ブルーベリーと肥料


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