スノキが・・・木漏れ日を拾っている状態。

   日の当たる葉もあれば、日の当たらない葉もある!
シャシャンボ。
 喬木の樹間で木漏れ日を拾って光合成を行う。
 林床は枯れ落ち葉、リターが堆積する。
 
 この中に菌根を張り、菌根菌の菌糸を根毛の代わりにして生きる。
 多くの根を伸ばすにも多量のエネルギーを必要とするからである。
ブルーベリーは森林の負け組植物である。
ブルーべりーを果樹として扱う時、大きな問題になるのはブルーベリーは「陰樹」だということである。
殆どの果樹になった木は、光合成勝ち組の木を改良して果樹に作り上げた。
燦々とした太陽の光が、枝全体、葉全体に当たることで、より多くの光合成を行い、果実を実らせるということ。
そういうことで、剪定が重要な栽培技術になっている。
果樹の果という字は・・・木に日を結合させて出来た字である??・

しかし、ブルーベリーは「陰樹」。
現在の日本のブルーべりー栽培の畑は・・・陽樹の果樹と同じ考えで、太陽が燦々と終日当たる畑に植えている。
ブルーべりーは北極周辺から南に逃避した植物なので「冷涼」な気候で生き続けてきた植物である。
しかし、日本列島は、温暖化現象もあってか、日本の平地では熱帯と同じような温度になっている。
この高温と強い太陽光は、ブルーベリー自生地の環境と大きく乖離している。
そういうことから、日本の果樹栽培の歴史を見れば、ブルーベリーのような冷涼な気候で育つ木は、
果樹と考えてこなかった。
農業の大原則に「適地適産」があるからである!
農業で最大の収穫を得るには、次の三要素がある。

  〇1 種類、品種の持っている遺伝的性質。
  〇2 適地であること。
  〇3 栽培者の栽培技術管理能力。
これが正三角形であれば最高の収穫が上がる。
ブルーべりーにこれを照合してみると1と2が日本のブルーべりー栽培に大きな問題である。
安定した収穫が出来る品種、適地でない状態で、ブルーベリーの産地化が推進されている。
3についても、標準の栽培技術が構築されない中で、ブルーベリーの生態系から乖離した栽培が流布している。


ブルーべりーが「陰樹」に進化して生き残ってきた原因は、
ブルーべりーは現在自生している場所は、アパラチア山脈の植物から見れば流れ者、新参者である。
ハイブッシュ、ラビットアイブルーベリーの自生地では、他の陽樹の喬木になる植物が優占種となっているエリアである。
良い場所は既に・・・そういう樹が勝ち組となって森林を形成している。
ブルーべりーに残されたエリアは、陽樹の林床、林縁、河川の土手・・・など、泥炭地帯などである。
つまり、木漏れ日を拾って・・・細々と生きる植物である。
喬木になれない宿命を背負った植物である。
どう頑張っても・・・家の柱とか床柱にはなれない樹である。

これを人間から見れば・・・・
木が大きくならないから・・・梯子、脚立などなくとも収穫出来るということになる。
しかし、陰樹というのは、常に光合成不足、エネルギー不足を抱えて生きている植物である。
自身の光合成のみでは・・・生きられないリスクを背負っている。
そのリスクをカバーするために「菌根」を具備して、エネルギー不足に備えている。
この菌根、共生菌のエリコイド菌根菌を削除した、苗木、畑で栽培してきた。
そして強い光を当てて・・・高温のエリアで栽培場してきた。
これでは、ブルーベリーが良く育つわけはない。
ブルーべりーの生態系を無視した栽培が流布してきた・・・。


このことが、今後、全国で大きな問題になり、産地が維持できない場合が出てくると予想される。
ブルーべりーは未だ、野生の樹木である。
植物遷移からの目線で栽培を考えなければならない。
ハイブッシュブルーベリーは、第四紀時代に、氷河が発達しなかったアパラチア山脈の一部分に途中下車したもの。
このエリアは、植物遷移から見れば陽樹から陰樹に移行が進んでいた。
アメリカブドウの自生地と重なる。
ブナの自生地とも重なる・・・。
更に南まで逃避してジョージア、フロリダまで南下したし定住したラビットアイ種は、
厳しい低温から逃れることが出来たが・・・・逆に高温、強力な光に悩まされる。
そういうことで、喬木の庇護の下で生きる進化をした植物である。
お山の大将のように、山頂に聳えるように巨木にはなれない・・・陰樹だから。
充分な光の下で生きる植物ではない。
だから、ハイブッシュブルーベリーも日本のシャシャンボも「菌根」を捨てない。
菌根菌と離別はしない。
流浪の旅の先祖の苦労を忘れていない植物である。

簡単にピートモスに挿し木して、昨日まで水田、畑だったところに植えて、素晴らしい生育をする植物ではない。
環境、生態系で育つ植物である。
そういうことで、陰樹の光がどれくらいが適当、最適なのか??・・
真夏の晴天で10万ルックス。
この光は、地球の陸生植物、陽樹でも強すぎて、光合成が減少する。
50%シェードが最適。
陰樹では、この50%・・・・25000ルック程度。
しかし、朝日、夕日の問題もあって、夕日は厳禁かもしれない。

ツバキのような葉が作れれば・・・適当な光である。

ブルーベリーは陰樹である
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